アイアイだより第120号より
新年おめでとうございます
皆様にとりまして 益々良い年でありますよう お祈り申し上げます
今年もどうぞよろしくお願い致します
3歳児の保護者の皆様には、これが最後のおたよりになります。3年余りの間、日々の子育ては大変だったことと思います。でも、過ぎてみればあっという間でした。このように、これからも幼稚園、小学校、中学校と、まだまだ子育ては続きますが、決して長く続くものではありません。親子の絆を確かめ合いながら、お子さんの心に寄り添って悔いのない子育てをお続けください。
私自身、年頭にモットーとしたいと願うことですが、「気が付く」ことが多くありたいと願っています。気付くことによって新しい世界に触れ、生まれ変わって行きたいと願うものです。
今回の最後の段落の言葉、「それがどんなに幸せなことか、気づいていらっしゃるかしら」などは、外側から教えてもらわなければ分からないことです。自分自身の内側から気付くこともあるでしょうが、窓を開いて外側から気付かせてもらうことも大切なことです。お互いに、より良く生きたいものです。
✿ 「パリのおばあさんの物語」
(スージー・モルゲンステルヌ著 セルジュ・ブロック絵 千倉書房)
フランスで子どもから大人まで読み継がれている絵本で、岸惠子さんが初めて翻訳された2008年初版の本です。
以下は、本文5・29・30頁の抜粋(一部略)です。
おばあさんは小さなアパルトマンに独り暮らしです。
おじいさんに先立たれて一人ぼっち。
子供はいるけど一人ぼっち。おばあさんは、ナチスがはばをきかせていた1942年の頃をつらく思い出します。夫がユダヤ人捕虜収容所から脱走し、逃げ帰った処を捕えられ、消息は戦争が終わるまでわかりませんでした。彼女は子供たちの命を守ろうと、山奥の修道院のシスターたちに預けました。自分は隠れ家から隠れ家へと逃げ回り、息をひそめて生きながらえました。やがて、子供たちも夫も帰って来ました。あまりにも厳しかったたくさんの困難を乗り越え、ぎくしゃくしながらも、少しずつ、少しずつ、昔の生活がよみがえってきました。夫は、日いっぱいの長時間労働をしています。子供たちは学校へ行きます。別れ別れの暮らしのあいだに、どうにもならない、悲しい運命の秘密と彼らは少しずつ折り合いをつけていったのでしょう。家族が一緒に暮らせる幸せが、いちばんなのです。
あなたにはそんな不幸せな秘密がありますか。
ないとしたら、それがどんなに幸せなことか、気づいていらっしゃるかしら。
また、下の文は、一番最後の頁です。様々な道を体験された方が老いて辿り着かれた境地に、心安らぐ思いがします。穏やかに受け容れられる安らぎです。
「おばあさん。もういちど、若くなってみたいと思いませんか?」
おばあさんは、驚いて、ためらうことなく答えます。
「いいえ」
その答えはやさしいけれど、決然としていました。
「わたしにも、若いときがあったのよ。わたしの分の若さはもうもらったの。
今は年をとるのがわたしの番」
彼女は人生の道のりの美しかったことや、山積みの苦難も知りました。
彼女の旅は厳しかった。
彼女の旅はこころ優しくもあった。
「もういちど、同じ道をたどってどうするの?だってわたしに用意された道は、
今通ってきたこの道ひとつなのよ」
あなたは どう思うかしら・・・・?
平成26年1月6日
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